表情が大切な理由
手話を学習していく上で、「表情が大切」と講師に言われたことがある人は多いと思います。
また、ろう者は表情が豊かである、という話もあります。
ここでいう「表情」について、おそらく学習者とネイティブの間では概念が違うかもしれません。
学習者から見ると、表情は手を動かすことよりも一段と難しく映るようです。
特に、喜怒哀楽以外の表情がイメージしにくいのではないでしょうか。
問いかけるような表情がどういう表情なのかと言われてもピンとこないでしょうか。
ネイティブの場合は、表情が最も大切なものであり、表情が無いと、手話として意思疎通しにくいという受け止め方があるように思います。
学習者にとって、顔で情緒を表すことは大変抵抗があると思いますが、ネイティブの表情を見てみると、大げさには表していないことが分かります。
人によってリアクションが激しいこともありますが、「わずかな顔の動きの変化を出すこと」が表情の一つとして含まれているように思います。
学習者にとっては手を見るだけでも精一杯かもしれません。
手話には、手の形が同じなのに意味が異なる、という難点(ネイティブから見れば、手話の良さでもある)があります。その難点を克服する方法の一つが、表情にあります。
そのコツが分かるようになると、表情、という言葉に恐れることなく、伝える手段の一つとして使いこなすことがおもしろくなるかもしれませんが、どうでしょうか。