人を呼びたいときには名前を呼びます。
例えば、前の人の後ろをついて歩いているとき、ふと前の人に用があると、
「〇〇さん」とか、あるいは単に「ねえ」とか「ちょっと」とか言うかもしれません。
また、突然の危険が迫っていたら、たとえば
「後ろから車!」とかいうかもしれません。
これは、私たちが音で発信し、音を受信することに
大きく依存しているのでしょう。
これが私たち聴こえる人の、人の呼び方です。
もし前を歩く人が耳の聞こえない人の場合はどうでしょうか。
私は、耳の聞こえない人と聴こえる人とに
毎日を囲まれて生活している、または仕事している中で、
耳の聞こえる人とは異なる、人の呼び方があると分かりました。
「〇〇さん」と言っても後ろ向きの方に勿論通じませんから、
肩をたたくのです。たたくといっても、トントンと2回たたくのです。
グーではないです、肩こりではないですから。パーですね。
自分がされると分かりますが、1回だと「おい!」という印象です。2回です。
実際やってみないと(呼んでみないと、呼ばれてみないと)分からないものです。
ほかにも、机をたたく、床を揺らす、メールを送る、視界に入る、
目の前で手を振る、照明をつけたり消したりする、仰いで空気を送る、物を投げる、
などが私がこれまでに体験したものです。
もちろん、聴こえる人が「〇〇さん」と呼ぶか「おい」と呼ぶか、関係性によって異なるように、
時と場合によって、相手との関係性によって、
使ってよい方法と悪い方法がありますので、
いきなり物を投げないように。