私たち健常者にとって、手話で話をしている人たちの表情は、よく言えば感情豊かに、悪く言えばオーバーに映るようです。
手話にまだ触れたことのない人や、手話学習をはじめた人から、感情の起伏が激しいとか、なんか怒ったような顔をしている、とか見られることもあるようです。私自身もその一人で、手話に触れた当初、抵抗感を抱いた覚えがあります。先日、手楽来家にいらっしゃった手話の学習者の方とそんな話をしました。
ろう者の会話を客観的に見ていると、顔で話しているような印象をよく受けたものです。
例えば、手話では疑問の意思を示すときに、眉毛を微妙に上げた表情をするのですが、それが怖い顔に見えてしまったりするのかもしれません。
あるいは、じーっと相手の顔を見ることが、品が無いと思われたり、威圧感を与えたりするのかもしれません。
しかし、これは手話が「見る言葉」であることを知っていれば、ごく自然で当たり前のことなのです。
こういった誤解は、実際に聴覚障害者と接するなかで、時間をかけて徐々に解決していくのだと思います。「当たり前」は、自分自身の中に存在するものでしかないので、自分で変えることができます。
いろいろな「当たり前」があるのだと知ることができたら、それは、きっと人生を豊かにすることでしょう。