日本語の読み方

「出光」。
 
みなさんは、何と読みますか。
ガソリンスタンドの「出光」なのですが、この読み方についてどのくらいの人がご存知でしょうか。
大半の人が「いでみつ」と読めると思います。
ガソリンスタンドが近くにあったり、家族が使っている環境であれば、だと思います。
 
父親がいつもガソリンを入れるときに決まって出かける先は「出光」。
それなのに、正しい読み方を20代まで知らなかった、というろう者がいます。
今までどうやって父親と会話をしていたのかを聞いてみると、「いつも行くところ」とか、「いつものスタンド」というやり取りだったとのこと。
ある日、友人(聴者)との会話で「ガソリンスタンドの出光、近くて便利よね」と発したところ、正式な読み方に正された、という話。
 
「沼垂」「紫竹山」「新発田」「糸魚川」...
新潟の地名ですが、読み方を知っている人はおそらく新潟県民以外では、少数です。
 
愛知の「猿投」はどうでしょうか。さるなげ、ではありません。
沖縄の「北谷」はどうでしょうか。きたたに、ではありません。
 
でも、こういった地名は、正しい読み方を知らなくても、馬鹿にされることはほとんどないと思います。「地名って難しいよね〜」で終わるし、その地域の人しか知らない名称でもあるので、知識として「よし、覚えたぞ!」と誰かに話したくなります。
 
しかし、日本人なら読めて当たり前と思いがちな言葉(固有名詞)について、ろう者の間違いを時々、嘲笑する人を見かけます。
この「日本人なら読めて当たり前と思いがち」になるのは、なぜでしょうか。
「外国人が読み方を間違えれば、それは違うよ、と言えるけれど、ろう者に対しては言えない」という話も聞きます。
 
言葉の読み方について、間違うのは誰でもありますが、間違う頻度が聴者よりも圧倒的に多い傾向にあるのは確か。
 
「耳が聴こえない」ということは、「音が聴こえない」だけでなく、「耳から得られるはずの情報が、得られない」。
 
理論的に考えれば、分かる人が教えてあげることによって学んでいけば、ろう者も少しずつ分かってくるはずなのですが、そこには、「日本人なのに分からないなんて」といった差異に対する無知が隠れている、というのは気のせいでしょうか。
 
(地名の読み方)
沼垂…ぬったり。
紫竹山…しちくやま。
新発田…しばた。
糸魚川…いといがわ。
猿投…さなげ。
北谷…ちゃたん。